仙崎市場レポート、秋の魚「スジ」 平成25年10月31日


秋の魚と言えば秋刀魚、なんといっても刀の形をした「秋魚」が体を表していますけど、文化や味覚の後押しも強い。秋刀魚は本州北の漁港で水揚げされるため、仙崎に揚がることはまず考えられません。地元の人はサンマを全く食べないといえば嘘で、やっぱり秋になれば他産地のサンマを焼いて食べます。

昨日は秋の魚、「コロ」を取り上げましたね。コロは年間水揚されますが漁獲量は少ないため、スーパーの鮮魚売り場にほとんど並びません。サンマは漁業期間が7~12月と決まっていて、他の時期に鮮魚はでませんけど、この時期だけしか仙崎で取れない魚ってあるのかな?探してみましょうか。

  • 仙崎市場名:ダボ
  • 正式名:マルソウダ

グラフは2年間分、ダボは毎年7月あたりに市場へ出始め、2月に姿を消してしまうお魚です。水揚のピークは12月、昨年冬はおよそ17トンの水揚があり、ほとんどは定置網によるものです。市場での評価はどうかというと、
「血合い部分が多くて刺身じゃむつかしい」

産地の人は魚をまず刺身で食べます。これに適さないダボは敬遠されるでしょう。でも、日本人の殆どがサンマを食べるとき、刺身じゃなくて焼きますよね。ダボも調理法を考えれば仙崎の冬魚に変わるかもしれませんよ。

マルソウダといって真っ先に浮かぶのがソウダ節。血合いの多いソウダ節は鰹節より薫りが強いと言われ、鯖節などのようにラーメンスープの出しとして使われるみたいです。う~ん?長門じゃソウダ節見かけないね。

ダボに限らず魚類の血合いにはアミノ酸であるヒスチジンを多く含み、鮮度がおちると細菌のはたらきによってヒスチジンはヒスタミンに変わります。全部ではありませんけど、サバに当たるとかいうのはヒスタミンによるもので、アレルギー様食中毒と呼ばれます。
このヒスタミンは加熱したくらいではすべて破壊されません。市場からの流通過程でしっかり冷やすこと、そして消費地では早めに召し上がるか、鮮度の良いうちに「冷凍」で保存が推奨されています。

  • 仙崎市場名:スジ
  • 正式名:ハガツオ

冒頭の写真3尾がスジ。仙崎のスジは秋が本場、ダボよりちょっとシーズンが早いのです。

スジの漁獲量はダボのおよそ1/10、魚価は10倍。鮮度落ちがはやいと巷で言われますが、地元では刺身で食べます。

これは今朝の水揚げ風景、旋網です。いい型ですね!スジの漁法は7割がこの旋網漁によるもので、一方のダボは8割ほどが定置網で水揚げされます。ダボはもうちょっと季節が変わらないと市場にでてこないから、写真は少しお待ちくださいね。

 

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