仙崎市場レポート、1番セリ 平成25年10月18日


今朝の仙崎市場は台風一過の吹き返しが沖合に強く表れて、出漁見合わせの隻数がかなりありました。1番セリに戻ったのは小手繰2隻、イカ釣り3、4隻、採貝のサザエ、シジミがそれぞれ1名ずつに、磯建網のアカミズ、その他はサヨリが30箱ほどの小商い。このため、ケンサキイカは2番セリと合わせても70箱ちょいとまばらで、最高値15,000円となってます。やはり、風が吹けばイカ釣りは危険。1,000箱の日もあれば、こんな日もやってきます。 寒くなってからメキメキと水揚げの増えているお魚たちを少しだけ。全て手繰り網ですよ。



この辺りの地方じゃカワハギとは言わず、「ハゲ」と呼びますが、これは「カクハゲ」で取引される魚です。正式名はカワハギ。小さいころの波止釣りでは「メイボ」と呼んでました。いまでも市内ではメイボ料理で通ります。

これは「ウマヅラ」、ウマヅラハギですね。ウスバハゲほど大きくはならず、鰭が青いので区別できます。

ハモ。仙崎はこれから本番だけど、ハモって夏の魚って言うイメージがあるのはなんでだろう?そうだ、京都の夏祭りと鱧が浸透してんでしょうね、わたしだけかな?

ハモはあふれた生命力の持ち主でして、この鋭い歯に噛みつかれたら、と思うだけで鳥肌もんです。しかし、大きいですね~。近くの仲買さんに話を聞けば、大きすぎるハモは骨が太くて得意先が敬遠する、と云われます。食べ頃サイズって大事なんだなあ。

アンコウ、ちっちゃいけど、ぐつぐつと鍋の季節になりました。

箱が少ないから、ゆっくりと歩きながら覗き込むと、ムム?この魚はなんだろうか

赤帽子さんの販売部職員を見つけて訊ねたら、「キコリ」。

「えっ、チコリ?

「キ・コ・リ」
・・樵・・木こり?なして山の主。で、あちこち調べていたらお隣萩市、しーまーとさんのするどい解説を見つけました。
タカノハダイと言うのですね。鷹の羽の鯛。ぼうずコンニャクさん調べによれば、遠目でも分かる紋様が鷹の羽に似てるとか。キコリとは、やはり山の生物からの俗名。

もうひとつ、おまけにこれは何てゆーの?手前はウスバで、奥のピンク色の魚体です。

う~ん、コブダイかなあとぶつぶつ。今度は販売部長さんに聞きました。

「ここじゃ、オビーってゆう(ビにアクセントが来る)」、「正式名は・・なんじゃったっけ・・?」・・・「イラ」

「イラ!」、ほんとですか、「イラ」といえば盆過ぎの海水浴場に現れるクラゲのことを長門じゃイラと呼ぶけど、この魚の正式名がイラなのですと。で、「オビー」の俗称はどこからやってきた?

調べてもなかなか見当たらずにイライラしてきましたが、正式魚名の「イラ」とは苛魚という意味も含まれているようで。

ベラ科の魚は磯釣りで頻繁にかかります。またホンベラ、ササノハベラなどカラフルな魚が多く、釣り上げたものは煮付けたり、から揚げで意外と美味しい白身魚なんですが、このイラという魚種はあまり食味の評価が伴っていません。仙崎のセリ値も相当に低いのですが、いくつかの釣り人コメントを渡り歩くと案外いけると聞こえてきます。

中日本以南の沿岸域に棲みつき、それぞれの地方で呼ばれている名前がおもしろく、

  • 和歌山県の一部で「アマダイ」
  • 福岡県の一部で「ハト」もしくは「ハトポッポ」
  • 愛媛県の一部で「バンド」、「ベルト」

これは一本の斜紋様がベルトをしているように見えるからでしょう。ということは「オビー」は「帯」ということなのかもね。

最初にオビーと聞いて、目の前にスターウォーズのオビワンがちらついてしまって困っていたのですけど、なんだかすっきりしました(笑)。

水揚量はさほどないため、食のワークショップや女性部さんの惣菜調理素材としての提案は難しいですね。

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