イカ釣り船、純洋丸乗船レポート


平成25年9月11日夜、長門の漁業、記録撮影と取材を兼ねてイカの一本釣り船に乗船してきました。ご協力くださった漁師さんは、JF山口ながと漁協川尻支店運営委員長、純洋丸船長の岡田 純典(おかた まさのり)さんです。取材班はながとケーブルテレビHOT-CHAのカメラマンさん、長門市商工水産課担当さんとumisachiの3名。この夜は日中の好天が夕方以降も続き、波はなく西南の風1~2m/sといった感じでした。

出向時刻は17時、前回の旋網船取材で船酔いしてしまったので、今回は酔い止め薬を頂きました。「イカ釣り船の揺れ方はハンパないよ」という忠告つき!

岡田船長と出港前に少しお話をさせていただきました。川尻はイカ釣り船が多く、9月であれば角島沖や見島付近まで出漁する船もいるけど、ほとんどは沿岸付近で操業しているそうです。当夜の漁場は川尻港をでてしばらく西に走ったあたり、沿岸部から2マイルちょっとの位置に船のアンカー(イカリ)を下しました。

まだまだ空は明るく陽の沈む気配もありませんが、周りを見渡すと30隻ほどのイカ釣り船が確認できます。

写真だと船が鮮明に写っていませんが、肉眼ではっきりと確認できる距離にいます。これは場所取りと呼ばれますけど、よい漁場を確保したい漁師はこうして暗くなるまで停泊しているのです。純洋丸は水深42mの棚上で船を休めました。船上では岡田船長が一本釣り仕掛けの準備にとりかかります。船首と船尾に左右ひとつずつの電動リールが取り付けてあり、これにイカ釣りの仕掛けを接続。今回は商工水産課担当者さん、umisachiに船尾のリールをそれぞれ与えてくださいました。

初心者なので餌木は4個仕掛け、おもりは潮の速さを見て変えてくださいとの指示。船長お手製の鉛おもりはおよそ80号から150号サイズまであります。この日は中潮で仙崎の干潮時間は19時過ぎに訪れ、そこからは深夜2時まで上げ潮になります。日没直前の18時過ぎから一斉に釣り始めました。最初は80号の重りで沈めます。魚群探知機に小魚の反応が薄いので、陽の明るい時間は水深40m付近を探ってとアドバイス。取材魂はどこかへ飛んでしまい、ここからひたすら釣り続けたため、イカのホットな写真がございません、あしからずご了承くださいませ(笑;)。

日没後、漁船の灯りがともりました。

辺りに停泊していたイカ釣り船の姿が海上に浮かび上がり、魚探に反応が現れ始めます。最初は深いところからポツポツ、時間が経つにつれ20m付近が色濃くなりました。ケンサキイカは集魚灯でまとまる小魚を求めて浮上してきます。その棚位置に仕掛けを落とし、しゃくりあげて誘い、餌木にイカを乗せる。そして巻き上げて獲物を活け間に移して再投入。イカ釣りはこの繰り返しですが、「同じこと」の繰り返しではありません。仕掛けを入れるたびに潮の流れる速度と向きが刻々と変わるのです。重りを付け替えたり、しゃくりのスピードを変えてみたり、棚位置も毎度毎度ずらしてみたり。

仕掛けの落とし方や巻き方がお粗末だと、ラインがおまつりしてしまいます。せっかく餌木に乗ったケンサキイカも、取り込み間際にラインを滑らすとバラしちゃうしね。何杯か釣り上げていると、餌木にかかった5cmくらいのコイカの上に、胴体長30cmほどのケンサキイカが乗ること数回。これは感激!水面付近を泳ぐコイワシの群れを数匹のケンサキイカが追いかける、そんな姿も灯りの元で目撃しました。

岡田船長は船首でイカとマアジを狙います。サビキ釣りでこのあたりの瀬付アジがよく釣れていました。ケンサキイカの仕掛けを返す手際に一寸の無駄がなく、ひとりで2個のリールをかわるがわる上げてゆきます。その間に陸(おか)で待つ家族と携帯でやりとりしたり、「お腹すいただろ~」とビスケットを差し入れしてくださったり、舞台を駆け巡る歌舞伎役者さんですよ。

さて、今夜の獲物ですが、仙崎市場の1番セリに立ちます。川尻支店の船が仙崎市場に入港し直接水揚することはありません。すべての船が川尻港で水揚げし、輸送トラックにのせて仙崎市場に運ぶのです。22:30に漁を終えた純洋丸は港に走り始めました。陸では船長の奥さんと愛犬ももちゃんが主人の漁をお出迎え。

活け間からの水揚をじっと見守るももちゃんの後ろ姿、今回のベストショット。ももちゃんは人懐こくて浜のアイドルなんだって教えてもらいました。

型のよいケンサキイカは船長から奥さんにリレーして活イカ水槽にまっしぐら。川尻漁港は立派な活イカ水槽を完備してます。漁師さんごとに水槽が割り当てられ、純洋丸の獲れたてケンサキイカはこちら。

やっぱりピントが合わなくて申し訳ありません。

いっぽうこちらは水揚げ直後のケンサキイカ。キュウキュウ鳴いています。

船長は船のお掃除とメンテナンス、奥さんはスチロールにケンサキイカをサイズ別に並べ、ももちゃんは愛情たっぷりにその傍らに付いているのでした。

こちらが川尻市場です。23時過ぎ、沖から漁船が帰ってきました。ピークタイムの羽田空港並みの接岸です。

みんなたくさん獲ってきましたね。箱立て作業は続きます。そしてサイドウィングを開いた輸送トラックに積み込まれ、川尻のケンサキイカは仙崎市場に運ばれるのです。日付がかわり、12日の1番セリの模様は別コラムでご案内しましょう!

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