こんにちは、ようやく雨が上がり時おり晴れ間がみえる空に変わりましたね。ぱらぱらっと落ちる小雨の中、9月2日は新学期のはじまった学生たちが集団で歩いておりました。長くも短い夏休みが終わりましたが、久しぶりに会う友だちと会話が尽きない登校日だったんじゃないでしょうか。
さて、こちらも新学期・・じゃなく9月が新年度スタートの通定置漁業組合、黒瀬さんを訪ねて概況をお伺いしてきました。
台風一過、ようやく冷たい海水が流れて来たかと思っていたところ、定置網の一部に設置されている海水温計のリアル情報を受信しました。黒瀬さんに見せていただいた速報値を見て、??? umisachi くんたまげました。
「こんなことがあるんですか!」。
「滅多にないことですよ」と黒瀬さん。表層面より深くなるにつれて温度が上がり、水深30mで29℃。びっくりでしょ。話しを伺うと、台風によって南風が強くなり、北から冷たい水が入らず沿岸付近の海水が撹拌されただけで終わってしまったんじゃないかと。表層海水は河川からの雨水によって温度が下がっている様子が推測されます。
続いて窓からしばらく外を眺めていた黒瀬さんが、
「北北の風が吹き始めたから明日あたりはいいんじゃない」。
えっ!とわたしも窓に顔を寄せて風速計でもあるのかと探しましたら何も見当たらず、「どこを見てるんですか?」の問いに空を指さして、そう、雲の流れなんですね。あっちが北だからといいながら、風向きと魚群の動き方を解説していただきました。
さらに潮の満ち引き、つまり定置網を揚げる時間帯の潮汐情報で漁にかかる労力が大きく変わるという仕事のポイント。最初に添付した画像から通定置さんの垣網と袋網の位置関係では、潮が引いてる時に落とし網へ流れるため、揚げ網の時間帯に当たると好都合だけど、あまりに潮流が早いと船が固定されなくて危ないなど、具体的なお話もしていただきました。
それまでumisachiは完璧に間違っていたのですけど、袋網に捕えた魚は天候の理由などで取り上げることが数日できなければ、網で擦れたりしてへい死するから毎日揚げないといけないのだと思っていました。ところが、運動場から登り網を通過して袋網に入る魚も、数%は漏斗部分を逆走し外に逃げてゆくのだそうです。受身的な漁法の定置網漁業ですが、実は環境にやさしいと知りまして、またまたびっくり。
9月2日の水揚げから期が開いた通定置さん、前期の水揚額はほぼ前々期並みをたたき出しました。現状の沿岸漁業を取り巻く厳しい環境から、高い水揚げを数年間確保しているのは並の努力ではありません。実際の乗組員だけじゃなくて通定置さんを囲む人の輪が幾重にもなります。戦略的なお話はこの場で控えますが、理由(わけ)もなく水揚げがあがるはずはないのでした。
風と潮といろいろな話しをいただきまして、次回は乗船のお約束を取り付けたumisachiくん。通定置さんの模様は定期的にご紹介してゆきたいと思います。
こちらはJF山口県漁協のサイトから通定置組合を紹介した内容です。定置網漁業の流れが写真つきで紹介されています。
また定置網漁法についての解説はJF全漁連さんのページをご覧ください。