仙崎でカジキ獲れるの?!


そう思われても不思議じゃありませんけど、実は定置網によくかかります。「よく」という言い方は誤解を招きますが、ある時期がくれば珍しくないほど獲れています。今日は長門のカジキについてお話ししましょう。

その前にひとこと。
巷では「カジキマグロ」と呼ばれることがありませんか?恥ずかしながらumisachiもカジキはマグロの仲間だと思っていましたが、マグロじゃありません。マグロはサバ科、カジキはメカジキ科、マカジキ科とファミリー系統が異なるんです。なので「カジキマグロ」という呼称は正確ではありませんよね(品名にしている切り身も見かけますからややこしい)。
カジキとは温暖な海を高速で遊泳する大型の肉食魚で全世界に10~12種存在すると言われますが、まだ完全には確立されていません。日本近海では次の6種が見かけられます。

バショウカジキ
成魚は全長3.5m、体重はおよそ100kgに達します。大きな帆のような背びれをもつのが特徴。インド洋から太平洋にかけて分布しカジキの中ではもっとも沿岸部に近づく性質を持っており、夏から秋は日本海に来遊し定置網で漁獲されます。大西洋に分布するニシバショウカジキとは区別されていますが、同種とする研究者もいます。ちなみにイメージ写真は大西洋のバショウカジキ。

シロカジキ
成魚は全長4.5m、体重は700kgに達する大型カジキ。日本海側へは夏から秋にかけて来遊し定置網で漁獲されます。和名は「シロカジキ」ですが英名は”Black marlin”。

クロカジキ
成魚は最大で全長5m。マカジキのような青い縞模様があり、死ぬ直前に体色が鮮やかな青色に変わるため英名は “Blue marlin”。近海では太平洋外洋を来遊しています。余談ですけどヘミングウェイの名作『老人と海』に登場する大カジキは、アトランティック・ブルーマーリンと言われます。

マカジキ
成魚は全長3.5m、体重は200kg近くになります。インド洋から太平洋にかけての暖流域に生息し、日本近海では太平洋側に多いです。青い縞模様が特徴のカジキで古くから日本の食に取り入れられ馴染み深く、カジキの中では最も美味しいと言われています。

メカジキ
成魚は全長4.5m、体重500kgを超える大型魚で全世界の熱帯、温帯水域に分布していますが、他のカジキが生息できないような低温水にも表れることがあります。

フウライカジキ
成魚は全長2m。カジキの中で最も上あご(吻)が短い。沿岸部に近づくことは少なく、日本海側に来遊することは稀なのだって。それで風来坊的な和名なのかな。

長門の定置網にかかるのはバショウカジキが多く、毎年9、10月はそれぞれ2トン以上の水揚げがあります。その他のカジキは6月から1月にかけて水揚げがありますけど数は少なく、暖流系の大型魚だけに2月から5月までは掛かることがございません。

写真は仙崎の定置網が揚げたバショウカジキ、小さめです。

文献資料
中村 泉,岩井 保,松原 喜代松(1968年).カジキ類の分類学的研究.京都大学みさき臨海研究所特別報告別冊 4 1-95

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