こんにちは!今日は仙崎漁港に揚がるの魚介類から、今月の旬「タコ」を紹介します。 イカほどではありませんけどタコにも種類がございまして、日本近海では50種類ほどが確認されてますね。 食用に適しているのはマダコとミズダコ、それに小型のイイダコですが、仙崎に揚がるのはほとんどがマダコ。
仙崎ではかご漁と呼ばれる漁法でマダコをとります。海底に餌をいれたひと繋がりのかごを沈めて獲物を誘い入れるのです。一か所に全長100m近い20~25個のかご仕掛けを設置し、1隻で数か所のポイントに投げ入れます。1晩、ときには2晩寝かせ、かごを引き上げて捕獲したら、その場で餌を投入し再び海底に投げ入るという漁法。
餌は冷凍のイワシやサバ、カツオなどを使いますが、これを目当てに誘い出されるのはタコだけとは限りません。いろいろな魚介類がかごを訪ねてくるそうですね。
漁師さんの本命は、マダコ、アナゴ、ガラ(カサゴ)。多くはないのですけどニシやサザエなどの貝類もやってきます。
招かざる客としては、ウミヘビ、ギギュウ(ゴンズイ)、ハオコゼ。これらは刺されて痛いし噛まれたくないし。 そして網を噛みきってしまうカナフグに、餌を食いつぶすヤドカリ。
さらにこの辺りで「ドロボウ」と呼ばれる魚が入ってるとねばねば粘液にせっかくの獲物が台無しにされちゃうのですよ。それでドロボウ呼ばわりされるんだけど、この外道とはヤツメウナギ。漢方としては貴重な材料ですけどね~、彼らの体表を覆うねばねば粘液にはたんぱく毒が含まれていて、これにやられた貴重な獲物は市場にだせないというわけです。
かごを回収するときには外道の彼らを除去する作業もあるある。1回の操業時間は5時間以上でそのほとんどが連続作業だから重労働なのだ~。
困難を乗り越えて陸揚された仙崎のタコくん。どのくらいの割合でかごに入っているのか定かではありませんけど、現役漁師さんに聞いたところ、盛期の今月なら打率5割近いことがあると。でも、まったく入らないこともあるし、どうだろう、3割くらいでしょうか。25個かご入れしてタコが7匹獲れれば上出来。でね、面白いことにひとつのかごで漁獲ゼロがほとんどだけど、2、3匹まとめて入ることが案外あるという。タコは共食いするから喜べない反面、一度に入っていると嬉しいですよね。
かご網のタコ漁は水深約20m付近の沿岸域で行なわれますから、大時化でもない限り漁にでます。全身が筋肉のタコはアミノ酸の一種で抗酸化作用が強いタウリンが多く含まれてます。イカやタコはコレステロールが高いんですけど、魚の2倍含まれるタウリンが血圧の上昇を抑え、コレステロールや血糖値を低下させる働きをします。さらにタコやイカにはインスリンを構成する成分のひとつ、亜鉛を含んでいますよね。ビタミンEも多く含まれるから、アンチエイジングにも効果があるんじゃないかな。
参考文献等
西村 直道(2008),食物繊維およびタウリンの血中コレステロール低下機構に関する研究.日本栄養・食糧学会誌61
石井 伸一(2010),胆汁酸からの糖・脂質代謝疾患への新たなアプローチ.日本薬理學雜誌136,265-269
家森 幸男(2001),生活習慣病の発症要因とライフスタイル.体力科學 50,19-23
吉岡 愛,高杉 嘉弘,古賀 義久(2007),脳卒中易発症性自然発症高血圧ラットへのタウリン長期投与による降圧効果に対する脳内神経伝達物質の関与.近畿大学医学雑誌 32
尾立 純子,佐伯 孝子,安永 好美 [他],宮崎 かおり,池淵 元祥,湯浅(小島) 明子,湯浅 勲(2007),亜鉛摂取と糖尿病について.日本家政学会誌 58,179-185
理化学研究所(1992),肥満と腸内細菌.RIKENニュース 129
ガッテンコラボ 驚き!コレステロールの新常識(2011),NHK
それではグルメコーナーに移りたいと思います(笑)。タコは世界の海で獲れていますから、食べない国がないと思っていたら大間違い。宗教上の教派によって禁止されていたり、かつては「悪魔の魚」と嫌われていたため、イギリスや北欧では食卓にのぼることが少なかったのです。一方で我々の暮らす東アジア沿岸域と地中海沿岸国及びラテンアメリカではポピュラーな魚介類です。当たり前ですけど国が変われば料理法も変わる。では、どのように調理されているのかご案内しましょう。
タコのガリシア風
スペインのタコ料理で作り方は簡単!
- ローリエと皮をむいた玉葱(※)を丸ごと入れ塩は適量でお湯を沸かしタコを3、4分茹でる
※玉葱を入れるとタコが柔らかくなります - 茹で上がったタコを輪切りにし皿に並べ、パプリカ、一味(※)、塩、オリーブ油をかけてパセリを散らす
※チリパウダーやカイエンヌペッパーが無ければ一味で代用できます
本場では塩茹したジャガイモの輪切りの上に乗せて食べることもありです。ピリッとしてワインがすすみそ~だぞ!
タコのアヒージョ
またまたスペインからとっておきのタコ料理。日本語で表現すると『タコのオリーブ油煮』。どうやって作るのかな?
- ニンニクとタコを薄切りにしておく
- 鍋にオリーブ油とニンニクを入れ中火で煮る(※)
※炒めるじゃなく煮る、ニンニク3かけ、タコ50gに対しオリーブ油100ccほど - タコと小さじ1杯の塩を入れ1分煮れば出来上がり
本場ではこれにバゲットを浸していっしょに食べます。ニンニクたっぷりで夏負け予防に気合をつけてください。
タコとポテトのサラダ
イタリアンでタコを使ったメニューを思い浮かべるならトマトソース味のパスタ。そちらも本流ですけどサラダを紹介してみましょうね。
- 茹でタコが買えればこれを食べやすい大きさにカット
- ジャガイモはしっかりゆでて食べやすい大きさに切る
- このふたつを塩、こしょう、オリーブ油、レモン汁であえる
とてもシンプルなサラダでしょ。仕上げにパセリかセロリの葉のみじん切りをちらしてどうぞ。ポイントは酢(レモン汁)です。タコとジャガイモの組み合わせって日本人なら煮物なんですけど、サラダもいいですね。ドレッシングをバジル、粉チーズ、ニンニク、松の実を加えてミキサーにかけたジェノベーゼソースにするとゴージャスになりますよ。
話しが突然飛びますけど、「タコライス」って料理が沖縄にありますが、あれは蛸をつかった料理じゃなくて、メキシコ料理のタコスから派生した沖縄オリジナル料理。蛸を使ったご飯なら「たこ飯」ですよね。これは日本各地で作られてます。
そろそろ日本のタコ料理でよろしいでしょうか。ミズタコなら刺身やしゃぶしゃぶってのが定番ですが、仙崎で獲れるのはマダコ。普通はボイルしてから刺身や酢の物で頂きます。では、他にどんな調理法やタコ料理があるのでしょうか。
タコのから揚げ
から揚げといってもほとんど揚げない状態で調理します。
- ぶつ切りにしたタコをつけ汁に漬け込んでおく
- 水気をキッチンペーパーなどでふき取り片栗粉をまぶす
- フライパンに油を多めにしき揚げるというより焼く
つけ汁のベースは酒と醤油。これにお好みで生姜、ニンニクなど香味野菜。
タコの天ぷら
タコテン!作り方はよろしいでしょう、ご存知ですね。揚げすぎるとタコが固くなりますから衣がカリッとするくらいで十分。イカやタコを天ぷらするときに、油がはねてたいへんと言われます。これを解消するのは衣につける前、茶こしのようなもので素材に軽く小麦粉を振り掛けておくひと手間がグッド。
おでんだねのタコ
季節はずしてすいません。タコといえばおでんでしょ、アレッ?!おでんは別名、関東煮(かんとだき)と言われますが、説によると関東から関西に伝わったから、または中国の広東料理が起源とはっきりしていません。名古屋でおでん下さいと暖簾をくぐればみそ田楽。海を渡った韓国では、「オデン」で通用するほど広く愛されています。
おでんを販売しているコンビニ大手のセブンイレブンでは、一番売れる時期が9月~10月にかけての季節。そのためか、販売は夏から行なわれます。昨年秋にテレビで放送された(お願い!ランキング/テレビ朝日)で、東京のローソンの人気おでんだねが発表されてましたが、残念ながらタコはベスト10外でした。地元仙崎ではどのあたりの人気になるのでしょうか、考えると楽しいですね。
タコ焼き
最後に用意しておきました、タコ料理の日本代表です。umisachiは関西に長く暮らしていましたから、ルーツのひとつ「明石焼き」もすてがたいですがやっぱりタコ焼き。この料理もアジアへ普及し、韓国では同じく「タコヤキ」、中国、台湾、香港では「章魚小丸子」、インドネシアなど東南アジア諸国でも「takoyaki」の名で見かけます。最近では冷凍食品も登場。
タコ焼きプレートがあれば子どもでも焼いて丸めて食べられる料理ですから、仙崎の旬な夏タコをいれて、青のり、かつ節、ソースにマヨネーズ…とくれば大人はビールですかね~。