まき網船の荷揚げからセリまで


前回の続きですね、まき網船団の運搬船が港についてからのレポートです。 日付が変わり、翌1時になりました。接岸した運搬船からは、すぐに魚が水揚げされます。まず活間のふたを開け、表面に浮いた氷を取り除き、そのあと底に溜まった魚を網で撹拌するのは、魚をクレーンですくいやすくするためです。それから、何度も何度も魚をすくって、ホッパーと呼ばれるタンクに移します。ここでタイなどの大物を手選別し、小型魚はベルトコンベアーが流れる間に大きさによって振り分けられてゆくのです。動画はすでにホッパーへ魚を揚げたあとの状況。小型魚の選別場に魚が溜まってしまったため、ベルトをとめています。

漁船に乗り込み漁を行うのは漁師ですけど、獲れた魚の鮮度や市場価値を落とさないよう、地道な手作業で行われる選別部隊をサッカーに例えるならセンターバックをはじめとしたDFライン。彼女らがいなければ漁は成り立ちません。

この時の水揚げは平均すると若干少なかった方ですが、仕分けにかかった時間は60分を超えていました。ずっと腰をかがめた状態で、流れ落ちる魚を10箱近いコンテナに振り分けてゆきます。集中力と根気と体力が要る作業。これがのちに続くセリでとっても大切なポイントになってきます。

さあて、セリが開始されました。この日もマアジ中心にコンテナが並んでいますが、実は細かくグラムわけされたマアジのコンテナなんですよ。セリ人は近隣市場での相場をインプットしていますから、仙崎の魚の脂乗り、色形、サイズを吟味しながら価格を提示してゆきます。そして、仲買人は販路先のニーズに沿った大きさの魚を選ぶことができますから、選別の成果がここで現れるのです。

セリのポイントは何といっても、 「獲れたての魚の鮮度を落とさないよう、短時間かつ適正価格で売買する」

仙崎市場は2時と5時半の2回セリが行われますけど、1回のセリにかかる時間は30分以内。その時の漁獲量によりますが、一度に複数の場(市場内)で同時にセリが行われるため、水揚げの多い日は仲買人さんもたいへんです。大手の会社はいつも複数のバイヤーがやってきて、同時に対応できる体制を整えています。

さて、協同丸さんの1回目のセリも無事に終わりました。セリ開始から5分もたたないうちに数百キロの魚の買い手が決まり、仲買さんの運搬部隊がいそいでトラックに運びます。が、その前に購入した魚を自社の箱に選別し、氷を打ってから積みこみとなるのです。私たちが同乗し、この海で獲れた魚がその日の晩には、食卓へあがることでしょう。おいしい、おいしいね、と喜んで食べてくださる人々の笑顔が広がってきましたよ。

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